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透明天色――承――

2018/06/03
 
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(このページは透明天色シリーズの二話目です。
            透明天色―起―を読んでいない方はそちらを先にご一読ください)

 

 僕はどうすれば良かっただろうか。

 もちろん声をかけることができなかったわけではなかった。
しかし、彼女の家族について何もわからない僕に、かける言葉を見つけられるだけの力はなかったようだ。

 

 彼女の身の上話を聞いて数分後、どちらも口を開くことはなかった。

そして、そのまま線路沿いの家路についてしまったのだった。
この時僕は何もしなかった。何を言っても知っているフリになることは、容易に理解できた。

 

「それじゃあまたね」

 

いつも別れる時に言うセリフを、今日も彼女は言った。いつものように。
対して僕は片手を上げて、無気力に唸った。

いつものように。

 

……このまま別れるべきだろうか。
家族に厳しく接されることで、彼女は苦しんでいるのではないだろうか。
えてして、それは自殺につながってしまうかもしれない。そんな僕の不安が、声帯を震わせた。

「なぁ」

 短く、ぶっきらぼうな声が出た。いつも話していた時より格段に小さく、怯えていたそれは、
とうとう彼女の耳に届くことはなかった。

 

 

 家に戻った僕は、取り返せない時間を苦悩する。
もし僕が「来い」と言ったことで、彼女が苦しんだら?
親にそれを相談した結果、彼女がさらに厳しく監視されることになったら?

何の罪もない彼女が縛られているのがなぜかもどかしかった。
それ以上に、勝手なことを言った無責任な過去の自分を殴りたくなった。
ソファに埋めた体がゆっくりと疲れを告げる。

くつろいでいるようで、頭の中は「もや」だらけだ。

 

……何を言ってもどうにもならなかっただろうな。
しまいには、そう思うことにした。

眠る前の夜空に、薄い雲が揺れていた。

 

 

 

いつも通り、目を覚ましたのはベッドの上だった。さっさと準備をして、学校へと向かった。

 

いつも通り、朝からうるさいクラスメイトと談笑を交わしていた。

 

そして、いつも通り。彼女は教室に入ってきた。

 

「おはよ」

「おぉ」

 いつも通り、いつも通りだった。なにもかも。なんだ、そう思った。
どうやら昨日彼女が僕に見せた初めての表情は、僕に大きな杞憂を持たせるだけの効果はあったらしい。

「そういえば昨日さ」

いや、どうだろうか。切り出した彼女に身構えた。

「聞きそびれたんだけど」

 嫌な緊張が僕を支配する。聞きそびれたこと。厳しい親への頼み方だろうか。
僕には経験のないことだ、慎重に答えを選ばなければなるまい。例えば……

 

「食事会、あんたは参加しないの?」

 

 杞憂だった。大きな針に引っかかった魚とはこんな気分だろうか。
自分のせいで親に怒られたりしなかったようで良かったが、しかし騙されたようで釈然としなかった。

 なんとなく嫌だった。彼女が家族に縛られていることが。
しかしそれは、「努力をしている人間は報われていいはず」という僕の勝手な思いを、
感情として固めただけのもののように感じた。

「……まだわからない」

「何今の間?」

長考していた結果、朝から不審がられてしまうのだった。

 


 

 昼休み。相変わらず授業にやる気を出せない僕は、ここぞとばかりに俊敏に弁当を広げる。

うまそうな匂いを早速ハイエナが嗅ぎつけたようだった。

「お、うまそう」

クラスの2人。いつも僕と一緒にいる2人のうち1人が、今日のメインである唐揚げに目をつける。

「やらんぞ」

当然拒否する。

「俺もやらんぞ」

「いやいらん」

 結局交換などしないのだった。そもそも弁当箱を広げてすらいないハイエナを前に、
僕は交換など求めていなかったのだが。
 そうしているうちにもう1人が椅子を持ってくる。

「今日いつものとこ行かね?」

ごとん、とイスを雑に置きながら彼は提案をしてきた。

 いつもの。それは僕らの間では下校路にあるゲームセンターを表す。
委員長である彼女も、僕を誘うときは「いつもの」だ。
僕は一体いくつの「いつもの」を抱えればいいのだろう?

 

「あぁ、いいよ」

「よっしゃ。UFOキャッチャーでさ、すげー技見つけたんだよね」

そう言っておいて、実際に成功したところを見たことがなかった。
コイツはゲームが好きだが、ゲームがド下手だ。控えめに言って下手。

 

カタリ、硬質的で軽い音が机の上で鳴った。
見上げればさっきのハイエナが満面の笑みを浮かべていた。

「交換しとけばよかったな」

 会話に割り込み、得意げに言うハイエナ。
彼の弁当箱の中には、それはそれはうまそうなハンバーグが入っていたのだった。

 


 

 ……今日の僕は少し運が悪いのかもしれない。
窓の外を眺めれば、天気予報では言っていなかった雨雲が近づいていた。
弱った。ちょうど折りたたみ傘を家に忘れてしまっていたのだ。
今にも降り出しそうな暗い雲は、すでに学校の真上にさしかかっていた。

 数十秒後。初夏特有のゲリラ豪雨が激しく窓を打ち始める。
非常に強い雨の様子は、どんなに無気力な僕でも顔をしかめるレベルだった。

 あぁ、やっぱり今日は運が悪いな。
確信が僕の胸中を占める。この雨の中を帰らなければならないというのなら、
この学校の生徒のほとんどがそうだ。しかし神様が自分にだけ謎の嫌がらせをしてくるような、
そんな気分になる。そんなわけないのだが。

「あ」

 たやすく、自然に声が出た。外を見ていた僕はこのクラスの誰よりも早く気づいたであろう。
雨がやんだのだ。
よかった、びしょびしょにならずにすむ。
神様ありがとう。さっきは嫌がらせとか言ってごめんなさい。
手のひら返しとはこういうことか。自分で納得してみたが、
案外人間の信仰なんてそんなもんじゃないかとも思った。
自分に都合の良いことだけを、みんな信じていたいのだ。

 そんなことを考えていた僕に――僕の机に影が差した。
体を向け、顔を上げると、目の前には先ほどまで教卓の前にいた教師が微妙な顔で立っていた。

 神様この野郎。

 


 

 授業後。特におとがめ無しですんだことに安堵を感じつつ、僕は集合場所に急いだ。
ゲームセンター前につくと、すでに中でシューティングゲームをしている2人が目に入った。
「よー」

「おー」

意味の無い音の投げ合いになった挨拶をこなして、ついでに2人がゲームオーバーになるのを見届けてから、
ゲームセンターの中を散策する。僕らは精一杯羽を伸ばしたのだった。

 


 

 2人と別れて家に向かって歩き始めるときには、時計はすでに9時を指していた。

体を動かしたわけでもない、主に画面を見過ぎたときの目から来る疲れが体を満たしている。
街灯のポツポツと灯った道を少し早足で歩いていた。

 

 

回り道を避けるため、角を曲がる、と。

 

「あっと」

「わー」

ありがちな道の角での衝突を、僕ともう1人の当事者はすんでの所で回避した。
互いにかなり棒読みの反応ではあったけれど、反射神経は良かったらしい。

「すいません」

「どうもー……ん?」

 どうかしたのかと思い顔を上げると、暗さでわかりにくいが知っている顔だった。

「え?」

「おぉ、まいくらすめーつじゃん!」

 発音が完全に日本人の片言英語――しかもこの場合複数形は間違いじゃないのか?――を発したのは
あろうことか、僕の苦手な「問題児」だったのだ。

「学校ぶりだな!」

「そうだね…」

 特に会話する内容が無いのに、なぜか僕らは立ち止まっている。
ここは早めに切り上げてさっさと家に帰ろう。問題児の面倒に巻き込まれたらたまらない。

「じゃあ、僕はこっちの道だから」

体を道に向けて歩き出す。完璧だった。これならば自然で悪意のない会話の拒否になっただろう。

そう思った僕は甘かった。やはり今日は運が悪いのかもしれない。

「まじ?俺もそっちだよ~ん」

 


 

 街灯のほとんど無い薄暗い道を歩いている。しかもあまり得意ではないタイプの人間と。
付け加えるなら、彼の口からはマシンガンのように言葉が出てきている。僕は曖昧な返事をくりかえす。
これは一体なんて言う名前の拷問だ?

 この問題児に相手の気持ちを推し量れというのは間違っている気がしたが、
言葉少なな自分に対してこんなにも話しかけられるのは一種尊敬の念を抱く。
よくもまぁ話題に事欠かないなと思う。普段からいろいろなことを率先して行っているからか。
それが問題行動でなければまだ良かったのだが。

 

「あ、そういえばさ・・・」

数分間しゃべり続けた彼のマシンガンが、ふとしたひょうしに弱まった。
歩きながら道を追っていた視線を上げると、問題児は少し真剣な顔をしていた。

「ん?」

今日のうちで、初めてこの道がとても静かなものに思えた。
次いで、問題児が問いかけたそれは僕を困惑させる事態となった。

 

 

「委員長さ、食事会行くの嫌なのかな?」

 

 


 

 「昨日の今日」という言葉がある。何かが起こってから1日しかたっていない。そんな意味を表すようだ。
主に否定的な意味で使われることが多く、「昨日の今日なのにほにゃらら」と言った例文は世間に溢れている。

 実際に今だってそうだろう。昨日の今日だ。1日しかたっていないのに。
彼女にそんなそぶりがあって、問題児はそれを即座に嗅ぎつけたのか?
僕の無責任な台詞は、そもそも見当違いだったと言うことだろうか。

親とか関係なく、本当は食事会そのものが嫌だった――。

そんなのありか。そうなると僕は大きな迷惑を彼女にふっかけたんじゃないか?
彼女からしたら、まさにありがた迷惑となるような。

「いや、なんかさ、表情が暗いんだよね。俺って自分から言うのもなんだけどうるさい系じゃん」

 自覚あったのか。

「周りに集まる人の顔色とかまぁまぁわかるわけよ。でもな……」

 そこで問題児は言いよどんだ。

「でも?」

「いや、なんかさ、うーんなんて言えばいいんだろう?悩み事がある人ってあんな感じだよなって」

 しゃべる前に、二言ほど意味の無い言葉を挟むのが問題児のクセらしかった。
それ以上に気にとまったのはやはり話の内容。正直問題児がそこまで他人を見ていることに驚いた。

 悩み事。どうにもそれは僕が知っていいようには思われなかった。

「それを、なんで僕に?」

当然と言えば当然の質問だった。僕は当人ではないのだし、わかることとわからないことがある。

「え?いつも一緒にいるじゃん」

「……」

 問題児の理論から考えると「一緒にいる人は互いのことを何でも理解している」と言うことになるのか。
空恐ろしい話だ。

 思い当たる節がある。昨日の今日だ。話をしたじゃないか。

 

 例えば、クラスの食事会に行かせてくれないほど厳しい家族、とか。
けれどこれは、彼女が食事会に本当に行きたくない可能性を排除した上でのことだ。
できれば、「行きたくない」というのは間違っていてほしかった。
 僕がいだく彼女のイメージは、思いのほか優しさに溢れているみたいだった。

 

 ……言ってもいいのだろうか。もちろん、家族のことを。

 これは、少なくとも彼女が嘘をついてまで隠そうとしたことだ。
僕が勝手に――あろうことか「問題児」に向けて――この問題を丸投げするのはいささか不躾過ぎやしないか。
考えながら、いつの間にか立ち止まっている自分に気づいた。問題児も近くでこちらを見ていた。

 

「お、それはなんか思いついた顔だ」

「……」

 

 油断していた。僕は戦慄する。
コイツにだったら、嘘で突き通せるかと。そういった考えにひびが入った気がした。
 あえて言うとするならば、僕は感情の起伏に乏しいことを自覚している。
もちろん人並みの感情はあるが、それが表情にかなり出にくいタイプなのだ。

 しかし、問題児は一発で見抜いた。僕が何かの考えに至ったことを。

 さらに僕は思考する。このレベルの感情の変化がわかるのならば、僕が普段コイツをどう思っているかも
筒抜けではないのだろうか。それは困る。今日二度目の「弱った」、だ。

 

 

 

 僕はこいつを見下していたのだから。

 

 

 

 成績で判断する際、自分より下に何人いるかを見て優越感に浸る。底辺の考え。
こいつも馬鹿騒ぎして自分を大きく見せているだけなのだろう――。
日常的にそう思っていた。そう見下していた。
 他人の意見なんか聞かずに、どんなに周りに迷惑でもやりたいことはやるような。
そんな――ある種パラノイアのような――性格だと、勝手に僕は判断していた。

 他人を批判することで、相対的に自分は日々進歩していると自覚したかったのだ。

 

 観念するしか無いと思った。実際に目の前で、無表情に近い僕の考えを読まれたのだ。

 

「すごいな、普段僕が考えてることとかもわかるのか?」

 敗北宣言に等しいそれは、しっかりと彼の鼓膜を捉える。
さぁ、どんな苦言苦情が出てくるのだろう。

 

 

 

「……いや?俺の席からおまえの表情見れねぇし」

 それより、なんか思い当たったんだろ。やっぱあいつ来たくないのか?彼はそう続けた。

 


 

 結局僕は口を割ることにした。彼女の家族が厳しいことも、僕がほとんど何も知らないということも。
機密情報でもあるまい。それに「親が厳しい」という話なら雑談レベルの情報だ。

 彼はよくしゃべるタイプだが、同時に僕の話も十分に聞いてくれる人間だった。

 委員長の彼女が食事会に対してどう思っていたかはわからない。
ただ、今言えることは、僕は彼に対して勝手な先入観を持ちすぎていたということだ。
彼は独特な会話の間を持つ。いつも彼の周りで、彼のアイデアを待つ人の気持ちが少しわかった気がした。
決して彼が問題児だから、それが面白いから周りに人がいるわけではなかったのだ。
僕の大きな間違いだった。

 すんなりと認められた。彼を見誤ったことを。

でも、なんだろう。

 少しだけ、湿気が冷たく背筋を灼いた。

 

 

 彼女の家族のことを話し終えると、彼は少し複雑な顔をした。
本当に「複雑」だった。僕とは別の意味で感情が読めない。
いくつか間を置いて、彼は口を開く。そこには僕が思いもしなかった言葉があった。

「恵まれてんな」

「……」

 絶句した。彼に対しての評価が覆されるのは今日で何度目だ?
正直なところ、彼は「校則とか門限とか束縛してんじゃねーよ!」というタイプだと思っていた。
自由な振る舞いを縛られるのを嫌いそうな、明るい髪色をちらと見た。
 その下で彼の口は再度動く。

 

「大事にされてんじゃん、いいことだろ」

 

「おまえは」

 口を開いた、僕が。本筋からそれてるとか、失礼とか全く考えずに言葉をつないだ。

 

 

 

 

 限界だった――。

 

 

 

 

「俺おまえのこと苦手だったわ。今この瞬間まで」

 彼が驚いた顔をした。内容を聞いて口元に軽い笑みを浮かべている。

「おまえのこととか、おまえの周りの奴らとか……考え無しに騒いでりゃいいだろ。って。
 そう思ってる奴らだと思ってた」

 彼は笑いながら言葉を出した。

「そこまで直球で言われたの初めてだよ俺」

「僕も初めてこんなストレートを投げた」

 でもそのほうが気楽か――。

 そう付け加えると、彼は大きく笑った。

会話の途中ではあったが、そろそろ動かなければならない。

「行こうぜ」

珍しく僕から声をかけた。

「うぃ~」

気の抜けた返事が返ってきた。

 

 歩き始めるとすぐに街灯の多い道に出た。
ずっと薄暗いところにいた僕らには、少しまぶしかった。

 また、僕から話を振った。

「ところでさっき、恵まれているって言ったけど、おまえは大事にされてないのか?」

「失礼なやつめ」

「僕も言った後でそう思った」

 少しだけ声を漏らして笑った。

そしてその笑みは次の彼の言葉で消えた。

 

 

「俺の家さ、母子家庭なんだよ。俺が中1の頃から父親がいないわけ。
 委員長の家族が厳しいって、多分父親の方がだろ?それなら恵まれてるよ」

 

 

「……悪い」

「いや、おまえは悪くねーだろ。むしろ気を使われる方が気持ち悪いわ。
 失礼とか考えずにバシバシ言ってくれりゃーええでー」

 下手なエセ関西弁で彼はおどけて見せた。
魅力的な人間だと思った。ヘンな意味ではなく。単純に。

「お、じゃあ俺こっちだから」

 先ほど僕が言ったような台詞を今度は彼が言った。
三叉路を前に、「また明日」と手を振っている。

「また明日」

 僕もそう返した。

 


 彼と別れ、家に着いた後で。いろいろ作業しながら僕は思う。

そういえば、彼女についての話ができていなかったな――、と。

 まぁ、いい。今日はもう疲れた。

 作業が終わり、ベッドに体を沈める。

 掛け布団を足でおしのけて、僕は就寝の姿勢をとった。

 窓から見える空は晴れていた。どうということも、ないのだけれど。

 今日はいろいろなことがあった。いつもの「平凡」を思い返してそう考えた。

 

問題児の彼と話をして、僕の中の何かが大きく傾いていくような。そんな気がした。

 

 夢を知覚する頃には、僕はとっくに寝ていた。

 


 次の日。学校に着いた僕を彼が出迎えた。

「よー」

「あー」

 互いに眠そうなまま、なんとなく並んで教室に入った。
クラスの数人がきょとんとした目でこちらを伺っていた。
僕と彼のペアが非常に珍しいからだろう。彼の方も視線に気づいたようで、苦笑を漏らしていた。

「そういやさ、昨日委員長の話結局途中で終わったよな」

 教室の前の方で、僕らは話している。

「そうだな、これるかどうか聞こうと思えば聞けるけど……」

 同意を示して彼は続けた。

「俺の企画が気に入らないんじゃ無きゃいいんだけどなー」

「彼女に限ってそんなこと無いと思うけど」

「まぁ、そうならいいなー」

 睡眠不足らしい彼の語尾は間延びしていた。そして大きなあくびをかみしめる。
それを見届けた僕は自分の席に座った。遠くで彼が雑にカバンを置く音が聞こえた。

 雨が降りそうな天気だった。昨日に引き続き、運が悪い。
今日の放課後でも、彼女としっかり話をしてみよう。結果が悪くても、彼ならば笑って流すだろう。
そう考えていた。

 

 そういえば昨日はここで――。回想を始めようとしたところ、僕の机に影が差した。
体を向け、顔を上げると、昨日に引き続き明るい髪色がそこにあった。

「そういやさ、おまえが参加すんのか聞いてなかったわ」

 きっと彼はいい人生を送る気がする。

「あぁ、考えてたんだった」

 かなり上から目線だが、そう思った。

「で、どうよ?来る?」

 心境の変化はどこで訪れたのだろう、たかがクラス会だぞ。
そんな思考も、邪魔な気がした。だって、少しだけ楽しい。

「ああ、行くよ」

「おっけー」

 再び彼はあくびをした。今度は止めようとすらしなかった。

 

「そういえばおまえ昨日、ちょうどこんな感じで怒られそうになってなかった?」

「そうだな、正直びびった」

「じゃあ、あれだな。今の俺の登場の仕方も、この後委員長に話を聞きに行くのも」

そこで言葉を止め、彼は続ける。

 

「昨日の今日だな」

 

 使い方が微妙に違う気がするそれを、指摘する気すらない僕は苦笑を浮かべた。

対して彼は得意げに笑みを浮かべるのみだった。

 

 はたして、その日は雨が一滴も降ることはなかった。

 


透明天色――承―― 後書き

 どもー、ぷらぱ―purapa―です。
このページはオリジナル小説「透明天色―とうめいあまいろ―」の第2話です。
今回は主人公が苦手とするクラスのトラブルメーカーに焦点を当ててみました。
時間がたつにつれて、問題児の呼び方が変わっていくようになる背景には、
主人公の思春期特有の感情の変化と彼に対する印象の変化を含ませたつもりです。
良ければみつけてみてください!
 そして良ければ次回もどうぞ!

以上、ぷらぱでした。

 

 

このページは以上ですノシ

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